事業内容

弊社は一般送配電事業者との連携のもと、効率的なシステム開発、保守、保有および運用を実現していくことを通じて、電力の安定供給を支える役割を担っています。

1. 次期中給システム

次期中給システムについて
電気は日々の暮らしや経済活動に不可欠であり、高品質な電気を絶え間なくお届けするためには、電気の使用量(需要)と発電量(供給)のバランスを取る必要があります。現在、全国10か所の中央給電指令所にある『中央給電指令所システム(中給システム)』が、電気の需要と供給をバランスさせる役割を果たしています。
『次期中給システム』は、各エリアの一般送配電事業者(沖縄エリアを除く)が、各社それぞれに開発してきた中給システムを共有化する、これまでに前例のないシステムとして、弊社が2020年代後半の運開をめざして開発を進めています。そのシステムを全国の一般送配電事業者9社が利用し、得られるメリットを追求していく考えです。
次期中給システム開発の背景
一般送配電事業者各社では、調整力の広域運用による経済性の追求や参入者拡大のためには、現状一般送配電事業者各社で異なっている需給・周波数制御(LFC・EDC機能等)の仕様を、各社の中給システムリプレースに合わせて抜本的に見直す必要があると考え、仕様統一に向けた検討を進めてきました。
検討を進める中で、社会的に最適な中給システムの実現や、将来の制度変更への柔軟な対応のためには、「中給システムの共有化を実現することが合理的」との結論に至りました。
これにより、地域間連系線で接続されていない沖縄エリアを除く、一般送配電事業者9社の中給システムを統合した次期中給システムを開発することとなりました。
次期中給システムで実現すること
システムを共有化することによるコスト削減や品質の向上が期待できるとともに、電気の安定供給維持を前提とした上で、一層透明性の高いプラットフォームの実現、全国大でのメリットオーダーの更なる追求、レジリエンス確保とコスト低減の両立、将来の制度変更に向けた拡張性・柔軟性の確保等の実現を目指しています。
一層透明性の高いプラットフォームの実現

現状は、各エリアの中給システムとの関連性が強い需給状況等については、各社の情報公開用サーバを介した情報公表が基本となっています。
次期中給システムにより需給制御等に係る情報を一つのシステムで管理することで、さらに利便性の高い一元的な情報公表に柔軟に対応できるようになるため、市場参加者の皆さまに対して、よりオープンで透明性の高い情報提供を実現することが可能となります。

一層透明性の高いプラットフォームの実現
全国大でのメリットオーダーの更なる追求

次期中給システムでは、これまで各エリアの供給区域内に限定されていた需給・周波数制御にかかわる計算を全国大で一元的に担い、また、発電量の調整にあたって、全国で最適な電源を選択できるようになります。
これによって、地域間連系線および各エリアの地内系統の混雑を同時に考慮した全国メリットオーダー型の需給制御を追求してまいります。

全国大でのメリットオーダーの更なる追求
レジリエンス確保とコスト低減の両立

一般送配電事業者各社は、地理的に離れて設置するシステムを共同利用するため、次期中給システムと各エリア拠点間は広域通信ネットワークで連係されることになります。
その上で、システムの系列2重化および設置拠点の広域分散によって、システムの可用性確保と同時被災リスク低減を図るとともに、セキュリティインシデント等の稀頻度事象発生時の対応として、必要最低限のバックアップ装置をエリア毎に保有することとしています。

レジリエンス確保とコスト低減の両立
将来の制度変更に向けた拡張性・柔軟性の確保

システムの共有化により、システム改修範囲を大幅に削減するとともに、標準化した連係基盤を介して機能間を疎結合とすることで、アプリケーションの追加が可能で、高い柔軟性・拡張性を確保できるシステム設計を志向しています。

将来の制度変更に向けた拡張性・柔軟性の確保

2. 電力データ集約システム

電力データとは
電力データとは、スマートメーターから得られるデータです。スマートメーターは、個々の世帯や施設などの30分ごとの電力使用量を計測し、一般送配電事業者は遠隔でその情報を取得することができます。政府の第4次エネルギー基本計画に基づき、各電力会社等において、2020年代早期を目標に全国の全世帯・全事業所にスマートメーターが導入される予定です。
電力データとは

スマートメーター
出典:日本電気計器検定所ホームページ

電力データ提供の背景
スマートメーターから得られる電気使用量等の電力データ利用促進を目的に、改正電気事業法が2020年に成立しました。同法では、災害復旧や事前の備えに電力データを活用するため、一般送配電事業者又は配電事業者に対して、自治体等に個人情報を含む電力データの提供を求める制度が整備されました。また、同時に、見守りや環境対策などの社会的課題の解決やイノベーションの創出のため、事業者(データ利用会員)に対して電力データを提供する制度が整備されました。
送配電システムズの役割
弊社は、一般送配電事業者から委託を受けて、電力データを集約・提供するシステムの開発・保守を行い、電力データを自治体等に提供する役割を担います。本システムの整備計画として、2023年上期末から月次/日次データを、2025年上期以降に準リアルタイムデータ(数時間間隔)を提供開始する予定としており、これら電力データ活用の高度化を支える取り組みによって、災害復旧等の迅速化や社会課題の解決に貢献してまいります。
電力データの種類と提供先
電力データは、個々の世帯や施設に取り付けられたスマートメーターの値をそのまま提供する「個データ」と、市区町村やエリアメッシュ単位で電力データを統計化し、面でエリアの傾向をとらえるのに効果的な「統計データ」の2種類があります。
「個データ」については需要家から同意の取得が必要となるため、中立的な組織である認定電気使用者情報利用者等協会(以下、「認定協会」)を介して提供され、また 「統計データ」も「個データ」を認定協会が統計処理を行ったうえで、提供することとしています。
データ種類 内容 提供先
個データ 資源エネルギー庁が「電力データ活用の在り方検討会」で必要と整理した供給/受電地点毎のデータ*1

*1 使用電力量(速報値、日毎値、確定値)、受電電力量(同)、供給地点特定番号、計器ID、需要家氏名、郵便番号、住所、契約電力、契約受電電力、引込位置情報、建物分類、電圧分類、電気方式、業務用/産業用、託送契約有無、受給契約有無、発電設備種別、発電設備容量 等

自治体等
認定協会
統計データ 標準統計データ 資源エネルギー庁が「電力データ活用の在り方検討会」で必要と整理した標準的な統計データ*2

*2 エリア毎(市区町村・メッシュ500m等)の合計・集約値であり、以下の項目で構成
→電圧階級(特高・高圧・低圧)、順潮流(契約電力、使用電力量)、逆潮流(契約受電電力、発電設備出力、受電電力量)、計器数分析(計器数)、通電計器数(計器数)

自治体等
認定協会
オーダーメイド
統計データ
認定協会がデータ利用者の求めに応じて提供する統計加工したデータ(標準統計データ以外の統計データ) 認定協会
電力データの活用(災害等緊急時)

従前の自然災害等の教訓から、自治体が行う緊急時の被害状況および電力復旧の把握等を目的とし、必要となる情報を自治体へ提供するものです。本データ提供をシステムを介して行うことで、通電情報等の提供の迅速化により、災害時の電力データ活用シーンの拡大が見込まれます。
なお、弊社はプライバシーおよびセキュリティ確保に万全を期した上で、情報を提供いたします。

電力データの活用(災害等緊急時)
活用例)災害時の的確な避難誘導

自治体等が避難先の通電情報を把握することで、避難誘導指示などに活用できます。

活用例)災害時の的確な避難誘導
電力データの活用(平時)

災害等緊急時以外の平時においては、一般送配電事業者から他事業者(データ利用会員)に電力データを提供することで、社会課題解決等に貢献することが期待されます。電力データは、30分ごとの電力使用量の推移が把握できるため、生活パターンの推定によって省エネを推進するなど、様々な活用の可能性があると考えられています。

電力データの活用(平時)
TOP